ここではオーバープリント(ブラック)の注意点について書こうと思います。

オーバープリント その2」で、オフセット印刷ならではのオーバープリントの使い方について説明しました。
「スミベタ(K100%)文字には、オーバープリント指定をする」というのが、印刷会社でのセオリーとなっていますが、これを簡単に設定するための機能が、Adobe Illustratorにはあります。
(編集|カラーを編集|オーバープリントブラック)

しかし、何でもかんでもスミベタにオーバープリントを指定すればいい、という訳ではありません。

一見すると、黒はどんな色よりも濃い色で、例えオーバープリント指定をしても色は変わらないんだから、いいんじゃないの?と思いますよね。

でも、でも、でも、でも、そんなの・・・ じゃなく、、、 実は、色は変わるんです!

黒という色の表現方法は、プロセス4色の組み合わせ方次第で何通りにもなります。例えば、CMY3色全てを100%指定することでも表現できますし、また当然ですがK100%でもできます。
また、KC各色100%でもいい訳です。(他にKM2色100%、KY2色100%、KCM3色100%などなど、、、)
要するに、K100%と他の色との様々な組み合わせで、無限にあるということになります。
※ よくよく考えるとCMYの3色で黒が表現できるなら、なぜKが必要なのかということになりますが、、、
それについてはこちらをご覧下さい。

このとき、同じ黒のはずなんだけれども、実は微妙に異なります。例えばK100%のみ黒とCMYK各色100%の黒ではその“黒さ”(黒の濃さの度合い)が異なります。実際は全ての色を100%にするなんて無謀なことは(オフセット印刷ではインクがのりすぎて裏写りなどの問題が起きるため)しませんが、この2つの黒は並べてみると明らかに異なります。前者は、“浅い黒”であるのに対して“深い黒”とでもいいましょうか。

 

普通のブラックに対して、リッチブラックと言われる黒がありますが、これがKのほかに3色を適度(30~60%)に混ぜた色のことをさします。濃い締りのある黒(黒々とした黒)を表現できるのですが、リッチ(豊かな)とは良く言ったものです。また、例えば赤や青の上に黒をオーバープリントで乗せたときは、赤っぽい黒や青っぽい黒になります。

つまり同じ黒でも違う色に見えるということです。いわゆる濃度差のある黒ということになります。この濃度差ですが、細かな(面積の小さい)文字やオブジェクトであれば、さほど気にならない(人間の目で認識されない)のですが、面積の広いオブジェクトであった場合は、良く目立ちます。【下図参照】(私も“ん?、あ~、オーバーか!”(大馬鹿)という経験が何度もありました)

Cはスミベタ文字にオーバープリント指定をしないもの、C’は、指定したものです。
(確認しやすいように文字の色を若干薄くしています)

オーバープリントの例3

白縁の大きな文字や、いくつかのオブジェクトを重ねた顔のイラストの黒髪など、背景にある部品が透けて見えるような感じになってしまいます。こうしたことから、面積の広いオブジェクトにスミベタが使われている時は要注意です。

なんでもかんでもという訳にはいきませんね。

ちなみにこれは余談ですが、、、
例えば、C100%(四角)の上にM100%C30%(円)を乗せて、円にオーバープリント指定をしても結果は、D’ではなくDのようになります。これはオーバープリントは透明処理や乗算処理とは異なるためです。つまり上の色の中に下の色が少しでも含まれていれば、その濃度が優先されるということです。ですから、混合色を表現するためにあえてオーバープリント指定をしたのに、逆に“あれれ”ということにもなりかねません。この辺も良く注意しておくべきでしょうね。
(※ ちなみに、混合色を表現したいという場合は透明で乗算を指定すればD’のようになります。)

オーバープリントの例 余談

ところで、そもそもオーバープリント機能は、その下のオブジェクトの色を生かす、という機能のはずなのに何でだろうと思うのですが、、、その辺のことはよく分かりません。しかし、おそらくですが、オーバープリント機能は、混合色を作るという目的で存在する機能ではなく、もともとスミベタ文字の見当合わせが困難なオフセット印刷を前提に、スミベタ(の小さな文字)のみに設けたかった機能ではなかったのか、というのが私の推論です。(適当なことを言っていますが、、、)