色を重ねるとき上の色を下の色に乗せて印刷すること

言葉ではちょっと分かりづらいので図で説明します。

Adobe Illustratorでは、属性パレットにこの設定項目があるのですが、その正確な振る舞いについてはあまり知られていません。おそらく知っているという人は、印刷事故で痛い思いをした人ぐらいでしょう。RIPのような分版ソフトを介さない通常のプリンタでは再現されないためだと思います。
オフセット印刷では、通常プロセスの4色(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラック)の網点の掛け合わせで様々な色を表現します。


例えば、下図のようにC100%の色が付いたオブジェクト(四角)の上にM100%のオブジェクト(円)があるときに、上に乗っているMにオーバープリントを指定しなければAのようになります。
オーバープリントの例
一方、このMにオーバープリントを指定すると、A’のように重なった部分が紺になってしまいます。つまり絵の具で言う混ぜた状態になる訳です。
Aは言い換えれば、図のように青のシアン版は赤いマゼンタ部分が抜かれた状態になる(版が作られる)ということになるのですが、普通の感覚ではちょっとおかしいんじゃないの?と思いますよね。そもそもデータとしてMの裏にCがあるのだから、版としてはA’のようになると思われるのですが、そうするとオフセットの仕組み上重なったところが色が混ざった状態になってしまいます。データを作る時の感覚としては掴みづらいところだと思いますが、オフセット印刷は4色の版(色)を順番に紙に転写していく印刷方法なので、その理屈を考えれば分かることですよね。(→印刷の仕組み

このオーバープリント、K以外(CMY)の3色には意図して指定するような特別な場合を除いて、通常は指定しません。なぜなら見かけ上の(モニタ上の)色とは確実に変わるからです。(Adobe Illustratorではオーバープリントプレビューで擬似的に確認することはできます)
稀に、気が付かずにオーバープリント指定がされていて、印刷してみたら“あれれ?”というようなことになることがありますね。元々オーバープリント指定がされていたオブジェクトをコピーして色を変えて、、、なんてことをしていると印刷事故になります。
普通のプリンタではオーバープリントを再現しませんし、普通モニタもオーバープリントプレビューにはしていませんから、気が付きにくい問題です。これは印刷会社のオペレータでもなかなか見つけ出すのが困難ですので、制作者が充分注意しておかなければならないでしょう。

 

しかし、そもそもなぜこのような紛らわしい機能があるのでしょうか? 当然のことながらそれにはオフセット印刷ならではの特殊な理由があります。

それは、次の「オーバープリント その2」で。